夢に出てくる彼は、いつだって笑っていた。

私の心の中のノベル。

結婚して早くも3年を迎えようとしている。
今の主人と5年付き合って入籍した。
もちろん、大好きだし大切に思っている。
まだ子どもはいないけど、近いうちにと思ってもいる。

忘れられない恋がある。

誰にでもある、珍しくもない片思いである。

私は運動部のマネージャーだった。彼は選手で、同級生だった。
3年いっしょに居たが、好きだったのか、と気付いたのは卒業の少し前だった。

すでに部活も引退していて、気持ちを伝えることもできず、廊下ですれ違い声を掛け合うことだけで、幸せだった。

メールもマメじゃない彼から、かけられる言葉がただの挨拶でも嬉しかった。

片思いだったけれど、彼がほかの人に向ける態度と、私に向ける態度が違う、そんな気がしていて、それだけで良かった。
勘違いだとしても幸せだった。

告白なんてそんな勇気もなく、考えることもしなかった。気付いてくれたら嬉しいなぁとか、そんな受け身な自分だった。

突然のメール

私は社会人になって、彼は大学生になった。
たまに同窓会などで顔を合わせたが、社会人と大学生というのは、価値観や行動も変わる。
だから、好きという気持ちより、友達という気持ちに変わってしまうのは仕方がない気がする。

別の恋もしたし、いまの主人とも出会った。

彼のことを思い出さなくなった。

連絡を取ることも、無くなった。

卒業から何年か経った。
私の誕生日だった。
12時を回ったと同時に、仲良しの友達からメールが届いた。

嬉しい気持ちでメッセージを読んでいるとまた着信音が鳴る。

心臓が大きく脈打つのを感じた。

誕生日を祝う言葉と、会う機会が少なくなったことを寂しがる、彼からのメールだった。

なぜ誕生日を覚えてくれていたのかとか、そんな返事をした気がする。
メールをくれたのは彼なのに、また次に来たメールは、素っ気ない返事と笑顔の絵文字と、おやすみの一言。

記憶してる限り、彼はそんなチャラついた人ではなかったはず。
だから、メールをくれたことに、なにか特別な感情を意識してしまう。

でももう主人と付き合っていたし、住んでいるところは離れているし、だからどうということもなく、心にしまっておくだけ。

そのメールは毎年続いたけど、それ以上でもそれ以下でもなかった。

夢でもし会えたら

現実で成し遂げられなかったことを解消するために、脳は夢を見せたりするらしい。

彼は忘れた頃に夢に出てきて、私はそれにどぎまぎする。

メールアドレスも電話番号も知っている。
でも、なんて連絡する?
1日考えてもちろん諦める。

そんなことを繰り返してるうちに、久々の同窓会を開くことになった。
彼も来るらしい。

付き合ってる人もいるのに、彼に想いを伝えるのはダメだと咎める自分と、伝えておくだけで違うんじゃないかと腕を引く自分がいる。

結局ちゃんと理性が働いた。

あとは、都合の良い理由をつけて、自分に言い聞かせるだけ。

ここで伝えてしまっていたら、もう二度と友達として会えなかったかもしれない。
だから、間違ってないよ。

そう口のなかで呟いて、目を瞑る。

彼が夢に出てくるのを期待して。

電話占い初回無料